
親の介護に備えたいと思っても、まだ元気なうちは、何から確認すればよいか迷うことがあると思います。将来どのような手助けが必要になるのかも、今の暮らしからは思い描きにくいかもしれません。
私も、母の介護に向けて特に準備をしていたことはなかったように思います。母への手助けは、通院の送迎から始まり、買い物や食事の支度へと広がっていきました。
その経験を振り返って、私が事前に最も確認しておくべきだと思うのは、お金の問題です。一方で、実際にどのような介護が必要になるかは、その時の状態によって違います。介護の形を決めきれなくても、親が元気なうちに確認できることはあります。
●この記事でわかること
- お金の状況や重要書類について、事前に確認しておきたいこと
- 親の将来の暮らしや介護の希望について、話しておきたいこと
- 普段の生活、薬、かかりつけ医など、把握しておきたい情報
- 家族の状況を共有する進め方と、困ったときの相談先
母への支援が増えていった経過も振り返りながら、今のうちに確認しておくことと、必要になってから考えることを整理していきます。
親の介護準備で、私が最も大切だと思うのはお金の確認

親の介護に備えて、元気なうちに何を確認しておくべきか。母の介護を経験した今、私が最も重要だと思うのは、お金の問題です。普段の生活に使っているお金や預貯金、通帳の保管場所などは、できれば前もって把握しておくべきだと考えています。
収入・預貯金・借金の有無と、重要書類の保管場所
母には借金はありませんでした。親の介護に備えるうえでは、預貯金と併せて、借金の有無も事前に確認しておくことが大切だと思います。
確認する内容は、例えば次のように整理できます。
- 年金などの収入と、毎月の生活費
- 預貯金などの財産の状況
- 借金やローンの有無
- 通帳や医療・介護関係の書類などの保管場所
厚生労働省の「親が元気なうちから把握しておくべきこと」チェックリスト(Word)にも、経済状況や借入、重要書類の保管場所が確認項目として挙げられています。
ただ、お金や通帳のことは、親が言いたがらない場合もあると思います。介護が必要になった際の支払いに備えたいという目的を伝え、話せる範囲から聞いていく方法もあります。
預金を使うための手続きは、取引銀行に確認する
通帳の場所を知ることと、家族が預金を引き出すための手続きは、分けて確認しておく必要があります。
全国銀行協会は、預金の引出しには原則として預金者本人の意思確認が必要と案内しています。本人の意思確認が難しく、生活費や入院費、介護施設の費用などのために困っている場合には、まず取引銀行へ相談するよう案内しています。
また、全銀協が示す不測の事態における払出しの考え方は、各銀行に一律の対応を求めるものではありません。将来、親が自分で手続きをするのが難しくなった場合に備えて、家族が対応するには何が必要か、取引銀行に確認しておくとよいでしょう。
母の介護は、通院の送迎から少しずつ始まった

振り返っても、母の介護に備えて特に準備していたことはなかったように思います。その時が来て初めて対応した、という感覚です。
自分のことは全て自分でしていた母が、2020年に脳梗塞で倒れてから、少しずつ手助けを必要とするようになりました。最初は、かかりつけ医への送迎です。最初の3年ほどは姉に任せていましたが、その後は私が送迎をするようになりました。
2023年のいつからだったか、はっきりとは覚えていません。食料品や日用品の買い物、食事の支度、かかりつけ医への送迎などは、ほぼ全て私が行うようになっていました。食事には、スーパーの総菜を使うこともありました。
姉と明確な役割分担の話し合いをしたことはありません。連絡を取り合う中で、最初は主に姉がしていたことを、自然と私がするようになっていきました。
実際にどのような介護が必要になるかは、その時が来てみないと分からない部分があると思います。年の取り方は百人百様、千差万別だからです。将来の介護の形を細かく決めきれなくても、現在のお金や暮らしの情報を確認することからなら、準備を始められます。
親が元気なうちに、これからの暮らしの希望を聞く

親が将来どのように暮らしたいと考えているかも、元気なうちに話しておきたいことです。先ほどの厚生労働省のチェックリストでも、老後や介護が必要になった場合の暮らし方について、親の考えを聞くことが案内されています。
私は、母が元気な頃に、将来の暮らしや介護の希望について話したことはありませんでした。母は、何でも自分のことは自分でしたい人で、「私は、100歳まで生きる」と話していました。
脳梗塞の後は、発語がほとんどできない状態になりました。もしかしたら、どのような介護を受けたいかという希望を持っていたのかもしれません。しかし、その希望があるかどうかも含めて、私は聞き出すことができませんでした。
これから親と話すなら、介護が必要になったときに暮らしたい場所や、人に手伝ってもらうことへの考えなどが話題になります。具体的な希望がまだなくても、今どのように考えているかを聞き、話し合う機会を持つことから始められます。
普段の生活と、薬・かかりつけ医を把握しておく

お金や将来の希望と併せて、今の暮らしや健康についても把握しておきたいところです。厚生労働省の事前確認のチェックリスト(Word)では、普段の生活動作や薬、かかりつけ医などが挙げられています。
確認する内容は、次のようにまとめられます。
- 食事、歩行、トイレなど、普段の生活の様子
- 飲んでいる薬やサプリメント
- これまでにかかった病気と、かかりつけ医
- 本人が困っていることや、不便に感じていること
親が普段、自分でしていることや、既に誰かに頼んでいることを一緒に整理してみる。将来の介護をまだ思い描けなくても、今の暮らしについて確かめるところから始める方法です。
家族が担えることと、困ったときの相談先を確認する

親の状況と併せて、支える家族の生活や仕事の状況、困ったときに相談する場所も確認しておきます。家族の担当を細かく決められない段階でも、こうした情報を共有する準備はできます。
家族それぞれの仕事や生活の状況を共有する
話し合う内容は、家族の健康状態、家庭で担っていること、仕事の状況などです。これらも、厚生労働省のチェックリストに挙げられています。
例えば、仕事で動けない時間帯や、家族の世話などで空けられない時間を伝え合う。その上で、親に手助けが必要になったとき、自分には何ができそうかを話します。それぞれの事情を共有するところから、担える範囲を考えていく方法です。
親の住む地域の地域包括支援センターを調べる
地域包括支援センターは、市町村が設置する高齢者の総合相談などを担う機関です。事前に確認しておくのは、親が住んでいる地域の窓口の所在地と連絡先です。
厚生労働省も、まだ家族の介護に直面していない人に、相談窓口を知っておくことを案内しています。介護の内容がまだ具体的になっていなくても、必要になったときにどこへ連絡するかを把握しておくことはできます。
よくある質問
Q:親がお金のことを話したがらないときは、どうすればよいですか?
A: 介護が必要になったときの支払いに備えたいという目的を伝え、話せる範囲から確認する方法があります。一度に全てを聞き出そうとせず、まず親が話せることから始めてもよいでしょう。
Q:親が将来の暮らし方をまだ決めていない場合は、どうすればよいですか?
A: 具体的な希望がまだなくても、今どう考えているかを話すところから始められます。暮らしたい場所や、人に手伝ってもらうことへの考えなどを聞き、話し合う機会を持つことも準備の一つです。
Q:家族の役割分担を今すぐ決められなくても、準備は進められますか?
A: はい。まずは家族それぞれの仕事、家庭、健康の状況を共有することができます。動けない時間帯などを伝え合い、自分には何ができそうかを話すところから、担える範囲を考えていく方法があります。
まとめ|介護の形は決めきれなくても、今確認できることはある

母の介護を経験した今、私が事前の確認で最も重要だと思うのは、お金の問題です。同時に、実際にどのような介護が必要になるかは、その時の状態によって違うと考えています。
元気なうちの準備として、次のことを整理しておきたいところです。
- 収入・預貯金・借金の有無や重要書類の保管場所を確認し、預金の手続きは取引銀行に聞いておく。
- 親がこれからどのように暮らしたいか、支援を受けることをどう考えているかを聞く。
- 普段の生活の様子、薬、かかりつけ医などを把握する。
- 家族それぞれの事情を共有し、親の住む地域の相談先を調べておく。
- 具体的な介護の内容は、必要になったときの状態に合わせて考える。
先のことを全て決めようとせず、まずは今の暮らしやお金について、親と話せることを一つ確認する。そこから、家族が把握していることと、これから確かめることを整理していく始め方もあります。
