親の介護費用は誰が払う?家族で確認したいお金の話と整理手順

親の介護費用は誰が払う?家族で確認したいお金の話と整理手順

親の介護が始まると、「費用は親の年金や預貯金から払うのか」「子どもが負担するのか」「兄弟姉妹でどう分けるのか」という問題が出てきます。支払いを一人が担当していると、誰のお金を使い、何にいくら払ったのか、ほかの家族には分かりにくくなることもあります。

介護費用は、子どもの一人が当然に全額を払うものではありません。まず親本人の収入や財産と必要な費用を確認し、それだけでは足りない場合に、家族で負担方法を話し合うという順序で整理します。

私の場合は、母の年金受取口座を管理し、在宅介護中と老健入所後の費用をそこから支払っていました。母の年金は手取りで月に12万~13万円ほどあり、その範囲内で賄えたため、私や姉による立替や後日の精算はありませんでした。それでも、必要な費用や支払内容は姉と話し合いながら進めていました。

●この記事でわかること

  • 親の介護費用を誰が払うのかという基本的な考え方
  • 母の年金から在宅介護・老健の費用を支払った実例
  • 在宅介護と施設入所で発生する主な費用
  • 家族間でもめないための負担・支払い・記録の整理手順
  • 負担軽減制度と、親のお金を管理するときの相談先

費用の負担元、支払担当者、支払内容の共有先を分けて考えると、家族で確認すべきことが見えやすくなります。私の経験と公的制度の基本をもとに、どのような順序で整理すればよいかを説明します。

親の介護費用は誰が払う?一律に子どもが全額負担するわけではない

親の介護費用は誰が払う?一律に子どもが全額負担するわけではない

親の介護費用は、子どもの一人が必ず全額を負担するものではありません。まず確認したいのは、親本人の年金や預貯金と、介護に必要な費用です。

家庭裁判所の資料でも、本人の生活に必要な費用は、基本的に本人の財産や収入から支払うのが相当と説明されています。本人の収入や財産だけで足りない場合に、家族による負担や公的な支援を検討するという順序で考えると整理しやすくなります。

まず親本人の年金や預貯金を確認する

介護が必要になったら、次の内容を確認します。

  • 年金などの毎月の収入
  • 預貯金などの資産
  • 介護サービスの自己負担
  • 食費、日用品費、通院費
  • 施設入所を検討する場合の利用料
  • 今後も続く医療費や生活費

この確認をせずに「子どもが払う」「兄弟姉妹で均等に分ける」と決めてしまうと、親のお金で賄える費用まで家族が負担したり、特定の家族だけに支払いが偏ったりする可能性があります。

ただし、親に収入や預貯金があっても、家族が本人名義の口座を自由に使えるわけではありません。誰が支払いを担当するのか、金融機関でどのような手続きが必要なのかは、別に確認する必要があります。

親のお金で足りない場合は家族で負担方法を話し合う

民法では、直系血族と兄弟姉妹には相互に扶養する義務があるとされています。しかし、子どもの一人が介護費用の全額を払う、兄弟姉妹が同じ金額を負担すると一律に決められているわけではありません。

扶養する人が複数いる場合は、まず当事者間で話し合います。話し合いがまとまらない場合は、本人の必要、扶養する側の経済状況や生活状況などを踏まえて、家庭裁判所の扶養請求調停や審判で決める仕組みがあります。

家族で話し合うときは、単に人数で割るのではなく、それぞれの収入や生活、すでに担っている介護、継続して負担できる金額などを確認することが大切です。

※制度に関する説明は、2026年9月1日時点の公的・公式情報をもとにしています。実際の負担や利用できる制度は、本人の所得・資産・世帯状況などによって異なります。

母の介護費用は手取り月12万~13万円ほどの年金から支払った

母の介護費用は手取り月12万~13万円ほどの年金から支払った

私の場合は、母の年金受取口座を管理し、そこから介護費用を支払っていました。母の年金は、手取りで月に12万~13万円ほどでした。

これは、すべての家庭で介護費用を親の年金だけで賄えるという意味ではありません。あくまで、私の母の場合はどうだったかという一例です。

在宅介護中も老健入所後も母の口座から支払った

母を自宅で介護していた約1年間は、介護サービスの自己負担、おむつや日用品、通院費、食費などを母の年金から支払っていました。

その後、母が老健へ入所してからも、施設の利用料などは同じ口座から支払いました。

私は母の介護に必要な支払いを担当していましたが、費用の負担元は私のお金ではなく、母自身の年金でした。「誰のお金から払うか」と「誰が支払手続きをするか」は、分けて考える必要があります。

家族による立替や後日の精算はなかった

幸い、母に必要だった介護費用は年金収入の範囲内に収まっていました。そのため、私や姉が立て替えたり、後から家族間で精算したりすることはありませんでした。

ただ、月ごとの介護費用がいくらだったかまでは覚えていません。ここでは、「母の年金の範囲内で賄えた」というところまでが、私が確かに言えることです。

親の年金だけで足りるかどうかは、要介護度、利用するサービス、施設の種類、居室、医療費などによって変わります。私の母の例は、費用を整理するときの一つの参考として受け取ってください。

在宅介護と施設入所では何にお金がかかるのか

在宅介護と施設入所では何にお金がかかるのか

介護に必要なお金は、介護サービスの自己負担だけではありません。在宅介護と施設入所では、費用の内容も変わります。

在宅介護中に支払った主な費用

私が母の在宅介護中に支払っていたのは、主に次のような費用です。

  • 介護保険サービスの自己負担
  • おむつなどの介護用品
  • 日用品
  • 通院費
  • 食費

厚生労働省の介護保険制度資料によると、介護保険サービスを利用したときの自己負担は原則1割で、一定以上の所得がある人は2割または3割です。実際の負担割合は、本人に交付される介護保険負担割合証で確認します。

このほかにも、介護保険の対象にならないサービス、住宅改修費や福祉用具購入費の自己負担などが発生する場合があります。毎月のサービス利用料だけを見ず、生活全体で必要になる費用を確認することが大切です。

老健入所後に支払った主な費用

老健へ入所すると、介護サービスの自己負担に加えて、食費、居住費、日常生活費などが必要になります。

母の場合も、老健の利用料や食費、日用品などを母の年金から支払いました。

施設で必要になる費用は、施設の種類、居室、要介護度、本人の所得などによって異なります。パンフレットなどに示された金額を見るときは、介護サービスの自己負担だけでなく、食費・居住費・日用品費などを含めた総額を確認した方が分かりやすいと思います。

介護費用で家族がもめないための整理手順

介護費用で家族がもめないための整理手順

私の家族では介護費用をめぐる問題は起きませんでしたが、それは何も確認しなくてよいということではありません。親のお金で賄える場合でも、必要な費用と実際の支払内容は、関係する家族で共有した方がよいと考えています。

負担する人と支払手続きをする人を分けて考える

最初に、次の三つを分けて整理します。

  1. 誰のお金から払うのか
  2. 誰が支払手続きをするのか
  3. 誰に支払内容を共有するのか

私の場合は、母の年金を費用の負担元とし、私が支払いを担当しました。姉とも話し合いながら進めていたため、支払内容について大きな行き違いはありませんでした。

費用の負担元と支払担当者を分けておけば、口座からお金を動かした人が自分のお金を負担したように見えたり、他の家族が支払内容を知らないままになったりすることを防ぎやすくなります。

家族負担が必要な場合は負担方法を話し合う

親の年金や預貯金だけで足りず、家族が費用を負担しなければならない場合は、関係する家族同士で話し合う必要があります。

確認したいのは、次のような内容です。

  • 毎月どのくらい不足するのか
  • 誰がどの費用を負担するのか
  • 金額で分けるのか、項目ごとに分けるのか
  • 一時的な立替なのか、家族自身の負担なのか
  • いつ見直すのか

家族によって収入や生活状況は違います。介護に関わる時間や距離にも差があります。単純に均等割りすることだけを正解とせず、無理なく続けられる方法を話し合うことが大切です。

支払額・立替・精算を記録して共有する

費用をめぐる誤解を防ぐには、口頭だけでなく記録を残す方が確実です。特別な会計ソフトを使わなくても、ノートや表計算ソフトなどで次の項目を記録できます。

  • 支払日
  • 支払先
  • 費用の内容
  • 金額
  • 支払いに使った口座
  • 立て替えた人
  • 精算の有無と精算日

領収書や請求書も一緒に保管し、必要に応じて関係する家族へ共有します。親の年金だけで賄えている場合でも、何にいくら使ったかが分かれば、他の家族も状況を確認できます。

介護費用が重いときに確認したい負担軽減制度

介護費用が重いときに確認したい負担軽減制度

親の収入だけでは介護費用の負担が重いと感じても、すぐに家族だけで不足分を抱える必要があるとは限りません。利用できる負担軽減制度がないか、市区町村の介護保険窓口などへ確認します。

高額介護サービス費

高額介護サービス費は、1か月に支払った介護保険サービスの利用者負担額が、所得区分ごとの上限を超えた場合に、超過分が支給される制度です。

ただし、次のような費用は原則として計算対象に含まれません。

  • 施設の食費・居住費
  • 日常生活費
  • 福祉用具購入費の自己負担
  • 住宅改修費の自己負担
  • 介護保険の対象外となるサービス費

「施設へ多額の支払いをしたから、全額が上限計算の対象になる」とは限りません。対象者や申請方法は、市区町村へ確認する必要があります。

施設の食費・居住費を軽減する補足給付

介護保険施設やショートステイを利用する低所得者には、食費・居住費の負担を軽くする補足給付があります。

対象になるかどうかは、世帯の課税状況、本人と配偶者の所得、預貯金などによって判定されます。原則として申請が必要なので、施設の相談員や市区町村の介護保険窓口へ確認します。

高額介護サービス費や補足給付の所得基準の一部は、2026年8月に改定されています。変更内容は厚生労働省の最新情報で確認できますが、記事に細かな基準額を固定して載せるのではなく、申請時点の条件を自治体で確認する方が確実です。

親のお金を管理するときは本人の同意と相談先を確認する

親のお金を管理するときは本人の同意と相談先を確認する

親に年金や預貯金があっても、本人が支払いや口座管理を難しく感じるようになることがあります。その場合も、家族だからという理由だけで自由に管理するのではなく、本人の意思と必要な手続きを確認します。

本人の意思を確認し、金融機関の手続きに従う

母は、自分のことが不自由になってから、私たち家族が金銭や預貯金を管理することに同意していました。そのうえで私が年金受取口座を管理し、姉とも話し合いながら介護費用を支払っていました。

必要な手続きについては、ケアマネジャーにも相談しながら進めました。ただし、ケアマネジャーが金融機関の手続きを決定したり、家族に代理権を与えたりするわけではありません。金融機関に関する最終的な手続きは、取引先へ確認する必要があります。

全国銀行協会は、預金の引き出しには原則として預金者本人の意思確認が必要であり、本人の生活費や介護施設費の支払いに困った場合は、まず取引銀行へ相談するよう案内しています。

判断能力が低下した場合は成年後見制度も選択肢になる

認知症などで本人の判断能力が不十分になり、預貯金の管理や介護サービス、施設入所の契約が難しくなった場合には、成年後見制度が選択肢になることがあります。

成年後見制度は、家族が自由に親のお金を使えるようにする制度ではありません。本人の権利や財産を守るための制度であり、家庭裁判所が家族以外の専門職を後見人などに選ぶ場合もあります。一度始まると、当初の目的を終えただけでは自由にやめられない点にも注意が必要です。

本人の判断能力が十分なうちに将来の財産管理を考える場合には、金融機関によっては代理人制度などが用意されています。また、任意後見制度という選択肢もあります。どの方法が合うかは、本人の状態や希望によって異なります。

ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談する

介護費用や親のお金の管理で迷ったときは、まずケアマネジャーへ相談できます。まだ担当のケアマネジャーがいない場合は、親の住所地を担当する地域包括支援センターや、市区町村の介護保険窓口が相談先になります。

相談するときは、親の収入、毎月の支出、利用している介護サービス、家族が負担している費用を分かる範囲で整理しておくと、利用できる制度や次に確認すべき窓口を検討しやすくなります。

ただし、金融機関で必要な手続きは取引先の金融機関へ、法的な代理権や家族間の紛争については必要に応じて法律の専門家などへ確認します。ケアマネジャーや地域包括支援センターだけで、すべての手続きを判断できるわけではありません。

よくある質問

Q:親名義の口座から介護費用を払ってもよいですか?

A: 本人の意思を確認したうえで、金融機関が定める手続きに従う必要があります。家族だから自由に預金を引き出せるとは限りません。本人の意思確認が難しい場合や、介護施設費などの支払いに困った場合は、まず取引先の金融機関へ相談してください。

Q:親の年金や預貯金で介護費用を賄えない場合はどうすればよいですか?

A: 毎月いくら不足するのかを確認し、関係する家族で負担方法を話し合います。高額介護サービス費や、施設の食費・居住費を軽減する補足給付の対象になる可能性もあるため、市区町村の介護保険窓口やケアマネジャー、地域包括支援センターへ相談してください。

Q:高額介護サービス費には施設の食費や居住費も含まれますか?

A: 施設の食費・居住費、日常生活費、福祉用具購入費や住宅改修費の自己負担などは、原則として高額介護サービス費の計算対象に含まれません。対象になる費用や申請方法は、市区町村へ確認してください。

Q:家族間で介護費用の話し合いがまとまらない場合はどうなりますか?

A: 直系血族と兄弟姉妹には民法上の扶養義務がありますが、誰がいくら負担するかが一律に決まっているわけではありません。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の扶養請求調停や審判を利用できる場合があります。個別の事情については、必要に応じて法律の専門家などへ確認してください。

Q:家族が介護費用を立て替えた場合は何を記録すればよいですか?

A: 支払日、支払先、費用の内容、金額、支払いに使った口座、立て替えた人、精算の有無と精算日を記録します。領収書や請求書も保管し、関係する家族が確認できるようにしておくと、後の行き違いを防ぎやすくなります。

まとめ|親のお金と家族負担を分けて整理し、支払内容を共有する

まとめ|親のお金と家族負担を分けて整理し、支払内容を共有する

親の介護費用は、子どもの一人が当然に全額を払うものではありません。まず親本人の年金や預貯金と、介護に必要な費用を確認します。親のお金だけで足りない場合に、関係する家族で負担方法を話し合うという順序で考えると整理しやすくなります。

私の場合、母の年金は手取りで月に12万~13万円ほどあり、在宅介護中と老健入所後の費用をその範囲内で賄うことができました。家族による立替や後日の精算はありませんでしたが、必要な費用や支払内容は姉と話し合いながら進めていました。

  • まず親本人の年金・預貯金と、介護に必要な費用を確認する
  • 子どもの一人が必ず全額を負担する、兄弟姉妹が均等に負担するとは限らない
  • 「誰のお金から払うか」と「誰が支払手続きをするか」を分けて決める
  • 家族負担が必要な場合は、負担額・立替・精算方法を話し合う
  • 支払額や用途を記録し、領収書などとともに関係する家族へ共有する
  • 負担軽減制度や口座管理に迷ったときは、早めに適切な窓口へ相談する

親の年金で費用を賄える場合でも、支払いを一人だけに任せ、ほかの家族が内容を知らない状態にするのは避けた方がよいと私は考えています。負担元、支払担当者、共有する相手を分けて決めておけば、何にいくら使ったのかを確認しやすくなります。

家族のお金や介護への関わり方は、それぞれ異なります。最初から完璧な分担を決めるのではなく、親の状態や費用の変化に応じて見直せる形にしておくことが、無理なく続けるための現実的な方法です。

介護費用や利用できる制度に迷ったときは、親の住所地を担当する地域包括支援センター、ケアマネジャー、市区町村の介護保険窓口などへ相談してください。

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