
親がデイサービスを嫌がると、「今日は休ませたほうがよいのか」「一度休むと、このまま行かなくなるのではないか」と迷うのではないでしょうか。家族としては本人の気持ちを尊重したい一方で、必要な介護サービスを利用できなくなることへの不安もあります。
しかし、「行きたくない」と言っている親を説得し続けたり、無理に連れて行こうとしたりしても、拒否の理由が分からないままでは適切な対応につながりません。まずは本人が示した意思として受け止め、体調や疲れ、周囲の環境などに変化がなかったかを確かめることが大切です。
嫌がる理由を本人がうまく説明できない場合もあります。そのようなときは、言葉だけでなく表情やしぐさも手がかりにしながら、ケアマネジャーやデイサービスと確認できた事実を共有します。家族だけで理由を決めつけず、関係者と一緒に対応を考えることが必要です。
私の母も、体調を崩したことをきっかけにデイサービスを拒否した時期がありました。私は無理に行かせず、ケアマネジャーと事業所へ状況を伝えて体調の回復を待ちました。その後、母に改めて尋ねると「行く」と答え、実際に利用を再開しています。
●この記事でわかること
- デイサービスを嫌がる親に無理強いを避けたい理由
- 拒否されたときに試したい七つの工夫
- 体調や環境の変化を確かめる際のポイント
- ケアマネジャーやデイサービスとの情報共有の進め方
- 体調不良をきっかけに拒否した母が利用を再開した一事例
この記事では、本人の意思を尊重しながら拒否の理由を確かめ、家族だけで抱えずに対応を考える方法を紹介します。親への声のかけ方や、次に何をすればよいか迷っている方は、参考にしてください。
この記事は、家族介護の一事例と一般的な意思決定支援の考え方を紹介するものです。病気の診断や治療、服薬の変更、個別の介護方針を示すものではありません。
デイサービスを嫌がる親には、まず無理強いを避ける

親がデイサービスを嫌がったとき、まず大切なのは、説得して連れて行くことではありません。「行きたくない」という本人の意思をいったん受け止め、体調や周囲の状況を確かめることです。
本節で参考にする意思決定支援の考え方は、認知症と診断された人だけでなく、認知機能の低下が疑われ、意思決定支援を必要とする人も対象にした、厚生労働省の「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)」に基づいています。
介護サービスの選択も、本人の意思を確かめながら支える対象です。本人が示した選択は、重大な害が予想される場合などを除き尊重し、急かしたり強制したりしないことが基本です。
「行かない」は本人が示した意思として受け止める
親から「行かない」と言われても、最初から拒否を否定せず、本人の立場から考えることが出発点です。本人に尋ね、普段の様子を知る家族や関係者から情報を集めて共有することも、意思を確かめる助けになります。「行かない」は、まず本人が示した選択として受け止める必要があると考えられます。「わがまま」と決めつけず、いったん立ち止まりましょう。
体調や環境が変われば、意思も変わることがある
一度「行かない」と言っても、その意思がずっと変わらないとは限りません。意思を決めたり表したりする力は、身体や心の状態、周囲の環境によって変わり、本人の意思そのものも変わることがあります。
本人が落ち着ける場所や疲れていない時間を選び、答えを急がせず、待ってから改めて確認します。これは気持ちを変えさせるためではなく、その時点の本人の意思を確かめる方法の一つです。
デイサービスを嫌がる親に試したい七つの工夫

親がデイサービスを嫌がったときは、次の七つをすべて一度に行う必要はありません。本人の体調や反応を見ながら、できるところから試します。
ここで紹介する七つは、公的機関が定めた固定手順ではありません。本人の意思を尊重する考え方や、家族・専門職が連携する方法を、この記事で分かりやすく整理したものです。
1.拒否の言葉をすぐに打ち消さない
最初の工夫は、「行かない」という言葉をすぐに否定しないことです。本人の立場から考え、本人が示した選択を基本的に尊重します。
その場で説得を続けたり、急かしたり、強制したりするのではなく、まずは拒否を受け止めます。「行かない」は、対応を考えるための大切な意思表示として扱う必要があると考えられます。
ただし、重大な害や安全上の危険が考えられる場合は例外です。本人と家族の意向がぶつかるときは、家族だけで決着をつけようとせず、専門職の支援を受けながら調整します。
2.体調不良や疲れ、急な変化を確かめる
これまで利用していた親が急に嫌がり始めたときは、説得より先に体調を確認します。意思を決めたり表したりする力は、身体や心の状態、周囲の環境によって変わることがあります。
疲れている時間帯を避け、本人が落ち着ける場所で様子を確かめることも大切です。体調不良をきっかけに拒否が始まったと考えられる場合は、まず体調を確認するのが妥当です。
体調不良が続く場合や急な変化がある場合、判断に迷うときは、この記事だけで判断せず、かかりつけ医などに相談してください。この記事は病気の診断や治療、服薬の変更を案内するものではありません。詳しくは「免責事項」内の「介護に関する情報について」及び「医療・健康情報について」をご確認ください。
3.言葉だけでなく表情やしぐさから手がかりを探す
親が嫌がる理由を言葉で説明できるとは限りません。本人に尋ねるとともに、普段の様子を知る人から情報を集め、関係者で共有します。
言葉だけでなく、表情、身振り、しぐさなども本人の意思を知る手がかりになります。発語が難しい場合は、送迎前や事業所の話をしたときなど、場面ごとの反応も観察材料になると考えられます。
ただし、表情やしぐさだけから本人の気持ちを決めつけてはいけません。見えた反応を事実として記録し、理由を確かめる手がかりにとどめます。
4.短く分かりやすく伝え、選べる余地を残す
説明は、分かりやすい言葉でゆっくり行います。一度に多くの情報を伝えるより、本人が扱える範囲の選択肢を示し、自分で答えられる余地を残します。
話す場所や時間も大切です。慣れた場所を選び、疲れているときは避けます。家族が望む答えへ誘導するのではなく、本人が考えやすく、意思を表しやすい状況を整えることが目的です。
5.結論を急がず、時間を置いて尋ね直す
その場で「行かない」と言われても、すぐに最終決定と考える必要はありません。本人の意思は変わることがあり、時間を置いて再確認することが求められます。
答えを急がせず、待ってから改めて確認します。体調や環境が変わったあとに尋ね直すことは、翻意を迫るためではなく、その時点の本人の意思を確かめる方法の一つです。
6.ケアマネジャーとデイサービスへ事実を共有する
家族だけで理由を推測せず、担当ケアマネジャーと利用しているデイサービスへ事実を共有します。本人の言葉、表情、体調、拒否が起きた時間帯や前後の出来事など、確認できた内容を分けて伝えることが大切です。
意思決定支援は、関係者がチームで行うことが重要です。本人と家族の考えが異なる場合も、専門職に間へ入ってもらい、対応を調整できます。必要に応じて、サービス担当者会議など既存の話し合いの機会を活用することもできます。
このような共有によって、家族一人で結論を出すのではなく、関係者で対応を検討しやすくなると考えられます。
7.利用方法や事業所、別の支援を見直す
拒否が続くときは、「どうすれば今のデイサービスへ行けるか」だけに考えを固定せず、利用方法や支援そのものを見直します。居宅介護支援の解説にあるように、ケアプランは、利用者の心身の状況や生活環境などを把握したうえで作成されます。
本人の負担にならない範囲で実際に体験することが、意思決定の助けになる場合があります。この考え方をデイサービスへ当てはめるなら、事業所が対応でき、本人の負担が少ない場合に限り、見学や体験を相談する方法も候補になります。
短時間利用や早めの帰宅も、どの事業所でもできるわけではありません。契約やケアプラン、事業所の体制などを確認し、対応可能な場合だけ調整候補とします。
介護サービス情報公表制度では、事業所情報を比較・検討できます。また、同システムのサービス編に掲載されている訪問系サービスや小規模多機能型居宅介護など、通所介護以外の在宅支援も選択肢になり得ます。ただし、利用要件や提供状況は地域や本人の状態によって異なります。目的を「とにかく通わせること」に固定せず、必要な支援を満たす別の方法をケアマネジャーと検討します。
母がデイサービスを嫌がったとき、私は体調の回復を待った

母の場合は、体調不良をきっかけにデイサービスを嫌がったため、私は無理に行かせず、関係者へ伝えて回復を待ちました。
体調を崩した母は、短く「行かない」と拒否した
母がデイサービスへ行きたがらなくなったのは、2025年1月に体調を崩してからでした。当時の母は発語がうまくできない状態でしたが、私の記憶では、短く「行かない」と言って拒否しました。
この「行かない」は、母が示した意思としてまず受け止める必要があると考えられます。体調不良をきっかけに拒否が始まった場合は、説得するより先に体調を確かめるのが妥当です。
無理に行かせず、ケアマネジャーと事業所へ伝えた
私は、母が嫌がった理由は体調の悪さだと判断し、そのままケアマネジャーとデイサービスへ伝えました。これは家族としての判断であり、病名や医学的な原因が確定していたという意味ではありません。
意思を確かめるときは、本人に尋ねるだけでなく、本人を知る人から情報を集め、関係者で共有することが大切です。また、意思決定の支援は一人で抱えず、チームで行うことが重視されています。
私は母を無理に行かせず、体調が回復するのを待ちました。拒否の経過や体調をケアマネジャーと事業所へ共有することは、関係者で対応を考える一つの方法になります。
「行く」と答えた後に利用を再開し、老健入所直前まで続いた
母の状態が良くなってきて、デイサービスへ行けるのではないかと判断できたところで、私は改めて母に尋ねました。私の記憶では、母は「行く」と答えました。
本人が意思を決めたり表したりする力は、身体や心の状態、周囲の環境によって変わることがあります。本人の意思も変わり得るため、時間を置いて確かめ直すことが必要です。結論を急がず、待ってから再確認することも意思決定を支える方法です。
母はその後、実際にデイサービスの利用を再開し、介護老人保健施設(老健)へ入所する直前まで継続しました。私の場合は、体調が回復したところで尋ね直し、その後に利用を再開した、という経過でした。ただし、回復を待ったことが再開の原因だったと断定はできません。この一事例だけで、同じ対応をすれば誰もが再開できるともいえません。
デイサービスを嫌がる親についてよくある質問
Q:デイサービスを嫌がっても、無理に行かせてよいですか?
A:基本は、拒否を本人が示した意思として受け止め、急かしたり強制したりしないことが大切です。ただし、重大な害や安全上の懸念がある場合は例外です。本人と家族の意向がぶつかるときは、家族だけで決めず、専門職の支援を受けながら調整します。
Q:急にデイサービスを嫌がったとき、最初に何を確認しますか?
A:まず、体調や疲れ、周囲の環境に急な変化がないかを確かめます。本人が疲れていない時間や落ち着ける場所を選ぶことも大切です。体調不良が続く場合や急な変化がある場合、判断に迷うときは、記事だけで判断せず、かかりつけ医などへ相談してください。
Q:親が嫌がる理由をうまく話せないときはどうしますか?
A:本人に分かりやすい言葉でゆっくり尋ね、表情や身振り、しぐさも手がかりにします。見えた反応だけから内心を決めつけず、普段の様子を知る人からも情報を集め、落ち着ける環境で急かさず確かめます。
Q:デイサービス拒否は誰に相談すればよいですか?
A:拒否したときの言葉や反応、体調、時間帯など、確認できた事実を担当ケアマネジャーと利用事業所へ共有します。本人と家族の意向が対立するときは、関係する専門職と一緒に調整します。体調上の懸念は、必要に応じて適切な医療機関などへ相談してください。
Q:一度デイサービスを拒否すると、再開は難しいですか?
A:一度拒否しても、本人の状態や周囲の環境が変われば、意思も変わることがあります。落ち着いた時点で、急かさず改めて意思を確かめることはできます。私の母は利用を再開し、介護老人保健施設へ入所する直前まで継続しましたが、これは一事例であり、同じ対応で再開できると保証するものではありません。
まとめ|拒否を急いで変えようとせず、理由と体調を確かめる

親がデイサービスを嫌がったときは、すぐに説得するのではなく、まず本人の意思として受け止めることが大切です。そのうえで、体調や疲れ、周囲の環境などに変化がなかったかを確かめます。
- 親の拒否は、まず本人が示した意思として受け止めます。重大な害や安全上の懸念がある場合は、家族だけで判断せず専門職と調整します。
- 体調や疲れ、周囲の環境によって意思の表し方が変わることがあるため、説得より先に状態を確かめます。
- 理由を言葉で説明しにくいときは、表情やしぐさも手がかりにしつつ、本人の内心を決めつけません。
- 結論を急がず、必要なら時間を置いて尋ね直し、確認できた事実をケアマネジャーや事業所へ共有します。
- 七つの工夫は公的な固定手順ではなく、すべてを一度に試す必要もありません。本人の体調・意思・安全と、事業所などの条件に応じて検討します。
まずは、親がいつから、どのような言葉や行動で拒否したのか、その前後に体調や生活上の変化がなかったかを整理してみてください。確認できた事実をケアマネジャーやデイサービスへ伝えることが、無理強いせずに対応を考える最初の一歩になります。
