
親の食事や排泄、移動に手助けが必要になってくると、「要介護認定はどこへ申請するのか」「訪問調査では何を伝えればよいのか」と迷います。本人の状態を見ても、どの要介護度になるのかを家族だけで判断するのは簡単ではありません。
要介護認定の受け方で大切なのは、希望する要介護度を予想することではなく、生活に支障が出た段階で早めに相談し、普段必要な介助の内容と頻度を事実に沿って整理することです。
私の母の最初の申請は姉が行ったため、詳しい手続きは分かりません。その後、老健入所後の認定調査に備えてケアマネジャーへ相談し、食事、排泄、移動、認知面などの状態を整理しました。ただし、実際の調査には立ち会っていません。申請や認定の仕組みは公的資料で確認し、私が経験したことと制度上の情報を分けてお伝えします。
●この記事でわかること
- 要介護認定について相談・申請する窓口
- 申請前に確認しておきたい書類や主治医の情報
- 申請から認定結果が届くまでの流れ
- 訪問調査で伝えたい介助の内容と頻度
- 状態が変わった場合や認定結果に疑問がある場合の対応
申請前の準備から訪問調査、認定後の対応までを順に確認しながら、家族が何を整理し、どこへ相談すればよいのかを具体的に見ていきます。
要介護認定は生活に支障が出始めたら早めに相談する

親の食事や排泄、入浴、移動などに支障が出始めたら、要介護認定について相談する時期です。すべてのことができなくなるまで待つ必要はありません。
要介護認定は介護サービスの必要度を判断する仕組み
要介護認定は、病気の重さだけで決まるものではありません。本人の日常生活で、どの程度の介護サービスが必要なのかを判断する仕組みです。
同じ病名でも、身体の動き、認知面、生活環境、実際に受けている介助によって、介護の必要度は異なります。そのため、「病気が重いから要介護度も必ず重くなる」とは限りません。
65歳以上の第1号被保険者は、介護が必要になった原因を問わず申請できます。40歳から64歳までの第2号被保険者は、医療保険に加入しており、特定疾病が原因で介護が必要になった場合が対象です。
最初の相談先は市区町村や地域包括支援センター
申請先は、本人が住んでいる市区町村の介護保険担当窓口です。申請が必要か迷う場合は、市区町村の窓口や地域包括支援センターへ相談できます。
すでに担当のケアマネジャーがいる場合は、本人の状態や介助量の変化を伝えてください。「まだ早いかもしれない」と家族だけで抱え込まず、生活上の困りごとが出た段階で相談することが大切です。
要介護認定の申請前に準備しておくこと

申請前には、誰が申請するのかを決め、介護保険被保険者証と主治医の情報を確認します。必要書類や受付方法には自治体ごとの違いがあるため、最新の案内も確認してください。
本人・家族のほか申請を代行してもらえる場合がある
要介護認定は、本人だけでなく家族も申請できます。自治体によっては、地域包括支援センター、居宅介護支援事業者、介護保険施設などに申請を代行してもらえる場合があります。
本人や家族が窓口へ行くことが難しいときは、利用できる代行方法があるか、市区町村へ確認しましょう。
介護保険被保険者証と主治医の情報を確認する
65歳以上の人は、一般に介護保険被保険者証を用意します。紛失している場合は、市区町村へ相談してください。
40歳から64歳までの人は、医療保険の資格情報を確認できるものが必要になります。必要な確認方法は自治体によって異なります。
申請時には、主治医の氏名や医療機関名なども確認しておきます。主治医がいない場合や、複数の医療機関を受診していて誰を主治医として伝えるか迷う場合は、申請前に市区町村へ相談しましょう。
必要書類と申請方法は自治体の最新情報で確認する
申請書の様式、本人確認書類、代理申請に必要なもの、郵送やオンライン申請の可否などは、自治体によって異なります。
古い書式や他の自治体の案内をそのまま使わず、本人が住んでいる市区町村の公式サイトか窓口で確認してください。分からない点は推測で記入せず、担当窓口へ尋ねるのが確実です。
申請から要介護認定の結果が出るまでの流れ

申請が受理されると、認定調査と主治医意見書の作成が進められます。その後、一次判定と介護認定審査会による二次判定を経て、認定結果が通知されます。
認定調査員が本人の生活場所を訪問する
市区町村の職員や委託を受けた認定調査員が、自宅、施設、病院など本人が生活している場所を訪問します。
認定調査では、全国共通の74項目を基本として、身体機能、生活機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活への適応などを確認します。本人や家族が項目を暗記したり、自分で要介護度を採点したりする必要はありません。
選択式の項目だけでは表しにくい介助の状況は、特記事項に記録されます。普段どのような介助が必要なのか、具体的に伝えることが重要です。
市区町村が主治医意見書の作成を依頼する
主治医意見書は、申請者や家族が作成する書類ではありません。市区町村が主治医へ作成を依頼します。
最近受診していない場合や主治医がいない場合は、申請手続きを始める前に市区町村へ相談してください。
一次判定と介護認定審査会の二次判定を経て結果が届く
認定調査の結果をもとに、コンピューターによる一次判定が行われます。その後、保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が、特記事項や主治医意見書なども踏まえて二次判定を行います。
認定結果の通知は、申請日から原則30日以内です。調査や審査に時間がかかる場合は、処理見込み期間と遅れる理由が通知されます。
訪問調査では普段の介助内容と頻度を具体的に伝える

訪問調査では、「できる・できない」だけでなく、普段誰がどのような介助をし、それがどのくらいの頻度で必要なのかを伝えます。
可能なら普段の様子を知る家族が立ち会う
在宅で家族が介護している場合、厚生労働省の認定調査員向けテキストでは、可能な限り介護者がいる日に調査を行うことが示されています。本人だけでは伝えにくい普段の状況を、家族が補足できるためです。
家族の立ち会いが難しい場合は、日程調整のときにその旨を伝え、普段の様子を知る人からどのように情報を伝えればよいか相談してください。
食事・排泄・移動・認知面の状況を整理する
調査前に、次のような内容を簡単に書き出しておくと説明しやすくなります。
- 食事:一人で食べられるか。見守り、声かけ、食事介助が必要か
- 排泄:トイレまでの移動、衣服の上げ下げ、後始末に介助が必要か。昼夜で違いがあるか
- 移動:立ち上がりや歩行ができるか。転倒を防ぐための見守りや付き添いが必要か
- 清潔・着替え:入浴、洗顔、口腔ケア、着替えにどのような介助が必要か
- 認知面:説明を理解できるか。意思疎通、服薬、金銭管理などに支援が必要か
「食事介助が必要」とだけ書くより、「毎食の声かけが必要」「週に数回は食べる動作の介助が必要」など、内容と頻度を分けると伝わりやすくなります。
調査当日と普段の状態が違う場合はその差を伝える
本人の状態は日によって変わることがあります。調査当日だけ普段よりよく動けた場合も、反対に体調が悪かった場合も、普段との違いを伝えてください。
認定調査では、項目ごとに定められた期間を踏まえて、より頻繁に見られる状況や日頃の介助方法を確認します。介助方法は、おおむね調査日以前1週間の状況が判断材料になります。認知症に関する一部の行動は、過去1か月程度の状況を確認する項目もあります。
期間は項目によって異なるため、家族が判断して情報を省かず、いつ、どのようなことが、どのくらい起きるのかを伝えましょう。
実際より重くも軽くも見せず事実を伝える
要介護度を予想して、状態を実際より重く伝えたり、遠慮して軽く伝えたりする必要はありません。
手すりがあればできる、声かけがあれば動ける、途中までは一人でできても最後は介助が必要、といった条件も大切な情報です。杖や歩行器などを使っている場合は、その使用状況も伝えます。
目指す要介護度に合わせるのではなく、普段の生活と介助の実態をそのまま伝えることが基本です。
母の認定では家族の予想と結果が一致しなかった

私の母は、在宅介護をしていた時期には要介護3でした。しかし、その最初の申請をしたのは姉です。老健へ入所した後の認定調査にも、私は立ち会っていません。
そのため、申請や認定調査について、私自身が経験していないことまで体験談として語ることはできません。ここでは、私が実際に行ったことと、施設から説明を受けたことだけを書きます。
最初の申請は姉に任せていたため詳しい手続きは分からない
母が最初に要介護認定を受けたときは、姉が申請を含む手続きをすべて行ってくれました。
私は、どの窓口へ行き、どの書類を用意し、申請からサービス利用までをどのように進めたのか把握していません。最初の認定調査についても、どのような質問があり、姉や母が何を答えたのか分かりません。
この記事の申請方法や認定の流れは、私の最初の申請経験をもとにした説明ではなく、厚生労働省や自治体の資料で確認した制度情報です。
分からないことを無理に埋めず、体験と調査で確認した内容を分けて伝える必要があると考えています。
老健入所後はケアマネジャーへ相談して母の状態を整理した
母は約1年間の在宅介護を経て、老健へ入所しました。在宅介護中は要介護3でしたが、入所前から食事や排泄など、日常生活の多くの場面で介助が必要になっていました。
老健入所後の認定調査に備えて、私はケアマネジャーへ相談し、母の状態を整理しました。
整理したのは、食事にどの程度の介助が必要か、排泄を一人で行えるか、移動や転倒にどのような不安があるか、こちらの話を理解できるか、意思疎通がどの程度できるかといった点です。
ただし、実際の認定調査には立ち会っていません。そのため、整理した内容が調査員へどのように伝えられたのか、調査員が母や施設職員に何を尋ねたのかは分かりません。
要介護4程度の予想に対して結果は要介護5だった
当時の私は、母の状態から要介護4くらいになるのではないかと予想していました。しかし、実際の結果は要介護5でした。予想より重い結果だったため、少し驚いたことを覚えています。
施設側からは、認定調査のころには、入所時に私が説明していたときよりも、母の日常生活動作(ADL)の状態がさらに低下していたという説明を受けました。
ただし、これは施設から受けた説明であり、介護認定審査会の資料を確認して分かった正式な判定理由ではありません。
要介護度はADLだけで決まるものではなく、認定調査の結果、特記事項、主治医意見書などをもとに総合的に判定されます。
この経験から、家族が本人の状態を見て要介護度を正確に予想するのは難しいと感じました。
家族ができるのは、希望する結果を予想することより、普段の生活で必要な介助を整理し、確認できた事実を伝えることだと思います。
認定後に状態が変わったときや結果に疑問があるときの対応

認定後に本人の状態が変わった場合や、結果に疑問がある場合は、そのまま家族だけで悩まず、担当のケアマネジャーや施設、市区町村へ相談してください。
心身の状態が変化した場合は区分変更を相談する
認定の有効期間中でも、心身の状態が変わり、必要な介護の程度が変化した場合は、要介護状態区分の変更申請を相談できます。区分変更申請をすると、改めて認定調査や主治医意見書などによる審査が行われます。
以前と比べて何ができなくなったのか、どの介助が増えたのかを整理して、担当のケアマネジャー、施設、市区町村へ伝えましょう。
結果に疑問がある場合はまず市区町村へ確認する
家族の予想と認定結果が違っていても、それだけで判定が誤っているとはいえません。まずは市区町村へ、認定結果の内容や判断について説明を求める方法があります。
認定調査票などの資料開示には、自治体ごとの手続きが必要な場合があります。確認できる資料や申請方法を市区町村へ尋ねてください。
なお不服がある場合は介護保険審査会への審査請求がある
市区町村の要介護認定などの処分に不服がある場合は、都道府県の介護保険審査会へ審査請求を行う制度があります。
審査請求は、原則として処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に行います。ただし、審査請求によって介護保険審査会が直接別の要介護度へ変更する仕組みではありません。
期限や必要書類などは個別の状況で確認が必要です。まず市区町村へ結果の説明を求め、そのうえで審査請求を検討する場合は、都道府県の窓口へ確認してください。
要介護認定についてよくある質問
Q:要介護認定は家族でも申請できますか?
A:本人だけでなく家族も申請できます。自治体によっては、地域包括支援センター、居宅介護支援事業者、介護保険施設などへ代行を依頼できる場合があります。詳しい条件は本人が住んでいる市区町村へ確認してください。
Q:かかりつけ医がいない場合はどうすればよいですか?
A:申請前に市区町村の介護保険担当窓口へ相談してください。主治医意見書は家族が作成するものではなく、市区町村が医師へ作成を依頼します。
Q:認定調査に家族が立ち会えない場合はどうすればよいですか?
A:調査の日程を決めるときに、立ち会えないことを伝えてください。普段の状態を知る人から、介助の内容や頻度をどのように伝えればよいか、市区町村や調査担当者へ相談しましょう。
Q:調査当日だけ普段よりよく動けた場合は不利になりますか?
A:認定調査では、調査当日の様子だけでなく、普段の状態や介助方法も確認します。当日と普段の違い、実際の介助内容と頻度を伝えてください。一方で、最も状態が悪かった日だけを普段の状態として伝えることは避けます。
Q:認定後に状態が悪化した場合は更新まで待つ必要がありますか?
A:有効期間中でも、心身の状態や必要な介護の程度が変わった場合は、区分変更を相談できます。何が変わり、どの介助が増えたのかを整理して、担当のケアマネジャー、施設、市区町村へ伝えてください。
まとめ|普段の介助状況を整理して早めに相談しよう

要介護認定は、病気の重さだけではなく、日常生活でどの程度の介護が必要なのかを確認して判定する仕組みです。
親の食事、排泄、移動、認知面などに支障が出始めたら、家族だけで申請の要否を決めず、市区町村や地域包括支援センター、担当のケアマネジャーなどへ相談してください。
申請前には、介護保険被保険者証や主治医の情報を確認します。訪問調査に向けては、できることと難しいことに加え、誰がどのような介助を行い、それがどのくらいの頻度で必要なのかを整理しておくと伝えやすくなります。
私自身、母の状態から要介護4程度と予想していましたが、結果は要介護5でした。家族が要介護度を正確に予想するのは難しいものです。希望する結果を考えるより、普段の状態を事実のまま整理して伝えることが、認定調査への現実的な備えになると思います。
親の生活に支障が出始めているなら、まず食事・排泄・移動・認知面など、気になっていることを簡単に書き出してみてください。そのメモを持って、市区町村の介護保険担当窓口、地域包括支援センター、担当のケアマネジャーなどへ相談するところから始めましょう。
※1.本記事の制度情報は2026年8月26日時点で確認しています。申請方法や必要書類は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の最新情報をご確認ください。
2.この記事は介護保険制度の一般的な情報と個人の経験を紹介するもので、個別の認定結果を保証するものではありません。詳しくは免責事項をご確認ください。
●参考にした公的資料
