
親の食事や排泄、移動に手助けが必要になり、介護保険を考え始めた。でも、どこに相談し、申請後に何があり、いつサービスを利用できるのか分からない。初めての手続きでは、順序をつかむところから迷うことがあります。
最初は市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターに、本人の生活で困っていることを相談できます。その後は認定申請、調査と審査、ケアプラン作成を経て利用へ進むのが基本です。結果を待つ間にサービスが必要なら、申請中の利用についても相談できます。
母の介護保険の最初の申請は姉が担当し、私は当時の詳しい経緯を把握していません。そこで、申請手順は公的資料で確認した内容を示し、家族が進行状況をどう共有するかも整理します。
●この記事でわかること
- 最初の相談先と、申請からサービス利用までの順序
- 申請できる人、必要書類、主治医の情報
- 認定調査・審査の流れと、認定後のケアプラン作成
- 申請中にサービスが必要な場合の相談先と費用の注意点
- 家族で共有しておきたい申請日、担当者、次の予定
まず全体の流れを確認し、今の段階で家族が何を準備し、誰に尋ねればよいかを一つずつ見ていきましょう。
※制度情報は2026年9月29日時点で確認しました。必要書類や申請方法、申請中の利用に必要な届出は自治体によって異なります。実際の手続きは、申請先の市区町村で確認してください。
介護保険の申請は、まず相談先につながるところから始まる

親の食事や排泄、入浴、移動などに手助けが必要になったとき、介護保険の手続きを最初からすべて覚える必要はありません。まずは本人の住む地域の市区町村の介護保険担当窓口か、地域包括支援センターに、今困っていることを相談できます。
最初の相談先は市区町村か地域包括支援センター
要介護・要支援認定の申請は、介護保険を担当する市区町村へ行います。一般には本人の住む市区町村の窓口ですが、施設入所などによる住所地特例に当てはまる場合は保険者が異なることがあります。申請先が分からないときは、介護保険被保険者証を確認し、市区町村へ問い合わせてください。
申請すべきか迷う段階では、地域包括支援センターにも相談できます。高齢者本人の生活や家族の介護について相談できる窓口です。所在地が分からなければ、市区町村に本人の住所を伝えて担当センターを確認します。
最初に伝えるのは生活で困っていること
「介護保険を申請したい」と決めてからでなくても、食事の支度が難しい、トイレへの移動に付き添いが要る、入浴に手助けが必要になった、といった現在の様子から話せます。いつ頃から変わったか、家族が何を手伝っているかも分かる範囲で伝え、次に必要な手続きを確認しましょう。
介護保険の申請からサービス利用までの流れ

手続きは、必要に応じた相談から始まり、認定申請、認定調査と主治医意見書、審査・結果通知、ケアプランの作成、サービス事業者との契約へと進むのが基本です。今どの段階にいるかを家族で共有しておくと、次に連絡する相手が分かりやすくなります。
相談から利用開始までの流れを確認する
| 段階 | 家族が確認・準備すること | 主な相手 |
|---|---|---|
| 相談 | 本人の生活で困っていること、希望する支援を伝える | 市区町村・地域包括支援センター |
| 認定申請 | 申請方法、必要書類、主治医の情報を確認する | 市区町村の介護保険担当窓口 |
| 認定調査・意見書 | 調査の日程を確認し、普段の介助内容を整理する | 認定調査員・市区町村・主治医 |
| 審査・通知 | 認定区分と有効期間を確認する | 市区町村 |
| ケアプラン | 利用したいサービスと費用を相談する | ケアマネジャーなど |
| 利用開始 | 事業者との契約内容と開始日を確認する | サービス事業者 |
認定までの手順は広島県の要介護・要支援認定の案内でも確認できます。
認定結果を待てない場合は申請中に相談する
認定結果が届くまで利用を待てない事情があるときは、申請中でも市区町村や地域包括支援センター、ケアマネジャーに相談してください。暫定ケアプランを作成してサービスを利用できる場合があります。利用前に必要な届出や費用を確認することが大切です。詳しくは後の節で説明します。
介護保険を申請できる人と必要書類

本人が窓口へ行けない場合は、家族が申請できます。地域包括支援センターや居宅介護支援事業者などに申請を代行してもらえる場合もあるため、利用できる方法を市区町村に確認してください。
本人だけでなく家族なども申請できる
家族が申請するときは、本人の状態や主治医を把握しておくと説明しやすくなります。本人が入院中で窓口へ行けない場合や、家族が遠方に住んでいる場合は、郵送や電子申請、代行申請の扱いを確認します。申請を受け付ける方法は自治体によって異なります。
申請前に準備しておきたい書類と主治医の情報
一般に、要介護・要支援認定申請書と主治医の氏名・医療機関名などを確認します。65歳以上の人は介護保険被保険者証も用意します。40歳から64歳の人は、初回申請時に介護保険被保険者証がまだ交付されていない場合があり、加入する医療保険の資格情報を示す書類などを確認します。本人確認に必要なものや提出方法は、申請先の案内に従ってください。
例えば横浜市の申請案内では、40歳から64歳の人について「資格確認書」「資格情報のお知らせ」などを挙げています。また、介護保険被保険者証を紛失して添付できない場合も申請を受け付けると案内しています。これは横浜市の例なので、実際に申請する自治体の最新の案内を確認してください。
書類とは別に、食事、排泄、入浴、移動などで家族が行っている手助けを簡単にメモしておくと、相談や認定調査のときに説明しやすくなります。
40歳から64歳の人には利用条件がある
65歳以上の第1号被保険者は、原因となった病気やけがを問わず、介護や支援が必要と認定された場合に介護保険サービスを利用できます。40歳から64歳で医療保険に加入する第2号被保険者は、加齢に伴う特定疾病によって介護や支援が必要になった場合が対象です。病名だけで家族が該当を判断せず、市区町村で条件を確認してください。
認定調査と主治医意見書をもとに審査が行われる

要介護度は病名だけで決まるものではありません。認定調査で把握した心身の状態や必要な介助、主治医意見書などをもとに審査されます。普段の生活と調査当日の様子が違う場合も、その違いを具体的に伝えることが大切です。
認定調査では普段の生活と必要な介助を伝える
認定調査員が自宅や施設など本人のいる場所を訪問し、心身の状態や介助の状況を確認します。家族は「一人でトイレに行けるか」だけでなく、移動中に見守りが必要か、衣服の上げ下ろしに手助けが要るか、夜間はどうか、といった普段の状況を整理しておくと伝えやすくなります。
状態を重く見せる必要も、小さく見せる必要もありません。いつ、何に、誰の手助けが、どれくらい必要なのかを、分かる範囲で事実に沿って伝えます。調査前の準備や介助内容の伝え方は、別記事の要介護認定の受け方で詳しく整理しています。
主治医意見書は市区町村が医師へ作成を依頼する
市区町村は申請書に記載された主治医に、本人の状態について意見書の作成を依頼します。主治医がいない場合は市区町村へ相談してください。自治体が指定する医師の診察を受けるなどの案内があります。
意見書そのものの作成料は申請者の自己負担ではありません。ただし、作成のために診察が必要になれば、診察にかかる自己負担が生じる場合があります。また、医療機関への書類の届け方は一律ではありません。受診や書類の扱いについては申請窓口に確認しましょう。羽村市の申請案内にも、意見書の費用と診察費用の区別が示されています。
審査を経て認定結果が通知される
コンピューターによる一次判定の後、介護認定審査会が調査の特記事項や主治医意見書なども見て二次判定を行い、市区町村が認定結果を通知します。結果は非該当、要支援1・2、要介護1〜5のいずれかです。
通知は申請日から原則30日以内ですが、調査や意見書の作成などに時間がかかり、30日を超える場合もあります。届いたら認定区分だけでなく有効期間も確認してください。結果に疑問があるときは、まず市区町村の介護保険担当窓口へ理由や今後の対応を尋ねます。
認定結果が届いたらケアプランを作成する

認定結果が届いた後、在宅で介護保険サービスを利用する場合は、どのサービスをどのくらい利用するかをケアプランで決めます。施設入所を希望する場合は手続きが異なるため、希望する施設や相談窓口へ確認してください。
要支援と要介護では主な相談先が異なる
要支援1・2で在宅のサービスを利用する場合は、地域包括支援センターや指定を受けた介護予防支援事業者などに相談します。要介護1〜5の場合は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーへ依頼するのが一般的です。担当する事業所が決まったら、ケアプラン作成依頼に伴う届出も確認します。
必要なサービスと費用を確認する
本人がどのような生活を送りたいか、現在の状態と家族ができること、必要な支援を担当者に伝えます。サービスの種類や回数は、本人の状態や希望などを踏まえて検討します。ケアプランの作成費用には利用者の自己負担はありませんが、利用するサービスには所得などに応じた自己負担があり、サービスによっては食費なども別途必要です。
サービスの利用前に、内容、回数、自己負担の見込みを確認してください。名古屋市の案内では、在宅サービスのケアプラン作成依頼と届出、作成費用に利用者負担がないことを説明しています。
事業者との契約・利用開始へ進む
利用するサービス事業者との契約内容や開始日を確認し、ケアプランに沿って利用を始めます。認定を受けただけで希望したサービスが自動的に始まるわけではありません。本人の状態や生活が変わったときは、担当のケアマネジャーなどに相談し、プランの見直しを検討します。
認定結果を待つ間にサービスが必要な場合も相談できる

申請後、結果を待つ間にも介護が必要になる場合があります。利用を急ぐときは、結果が出るまで何もできないと決めつけず、市区町村や地域包括支援センター、ケアマネジャーに状況を伝えてください。
暫定ケアプランで利用できる場合がある
認定結果を見込んだ暫定ケアプランを作成し、申請中にサービスを利用できる場合があります。ただし、必要な届出や担当する事業者の扱いには自治体ごとの運用があります。例えば大阪市の案内には、暫定ケアプランと計画作成依頼の届出について市独自の手続きが示されています。具体的な提出期限や方法は、本人の申請先に確認してください。
利用前に認定結果が見込みと違った場合の費用を確認する
見込んだ要介護度と実際の認定結果が異なると、利用できるサービスの範囲や費用が変わることがあります。在宅サービスの支給限度額を超えた分や、非該当となって介護保険の給付対象にならない利用分は、全額自己負担になる場合があります。ひたちなか市のQ&Aも、申請中の利用と費用の注意点を案内しています。
利用を始める前に、誰が暫定ケアプランを作るか、必要な届出、見込みと結果が違った場合の支払いについて説明を受けてください。
申請の情報は家族間でも共有しておく

家族の一人が手続きを担当する場合でも、相談先、申請日、次の予定をほかの家族にも伝えておくと、担当者が不在のときに状況を確認しやすくなります。
母の最初の申請は姉が担当し、私は詳しい経緯を把握していない
母の介護保険を最初に申請したときは、姉が手続きを行ってくれました。私は、どこへ最初に相談したか、何を提出したかなど、当時の詳しい経緯を把握していません。そのため、この記事で説明した申請手順は、私が窓口で経験した出来事ではなく、公的資料で確認した制度の流れです。
家族の一人が担当するなら、ほかの家族も申請が今どこまで進んでいるか知っておくとよいと、私は考えています。
申請日・担当者・次の予定を共有する
共有する内容は、最初から詳しい記録にする必要はありません。次の表のように、別の家族が連絡するときに必要な項目を一枚にまとめる方法があります。これは共有する項目の例です。
| 共有する項目 | 記入する内容の例 |
|---|---|
| 相談先 | 市区町村の担当窓口、地域包括支援センター |
| 申請日・方法 | 申請が受理された日、窓口・郵送などの方法 |
| 担当者・次の予定 | 連絡先、認定調査の日程、確認が必要なこと |
| 主治医 | 医療機関と医師の名前 |
| 書類の保管場所 | 申請書の控え、結果通知書、介護保険被保険者証の保管場所 |
本人の健康状態や連絡先を含む記録なので、共有する相手と保管方法には気を配ります。認定調査の前には、日頃の様子を知る家族が、実際に行っている介助を持ち寄ると、生活の状況を説明しやすくなります。
よくある質問
Q:家族が本人に代わって介護保険を申請できますか?
A:家族も申請できます。地域包括支援センターや居宅介護支援事業者などに手続きを代行してもらえる場合もあります。必要なものと受付方法は、本人の介護保険を担当する市区町村に確認してください。
Q:主治医がいない場合はどうすればよいですか?
A:申請先の市区町村に相談してください。市区町村が指定する医師の診察を受け、意見書を作成するなどの案内があります。自己判断で意見書を用意する必要はありません。
Q:主治医意見書やケアプランの作成に費用はかかりますか?
A:主治医意見書の作成料と、介護保険サービスを利用するためのケアプラン作成費用には、利用者の自己負担はありません。ただし、意見書を作成するために診察が必要な場合の診察費や、ケアプランに沿って利用するサービスの費用は別に確認してください。
Q:認定結果が出る前にサービスを利用できますか?
A:暫定ケアプランを作成し、申請中に利用できる場合があります。認定結果が見込みと違うと、利用分の一部または全部が全額自己負担になる可能性があります。利用前に申請先やケアマネジャーなどへ、手続きと費用を確認してください。
Q:認定結果に納得できない場合はどうすればよいですか?
A:まず市区町村の介護保険担当窓口に、結果の理由や対応を確認してください。なお納得できない場合は、都道府県の介護保険審査会への審査請求という手続きがあります。原則として処分を知った日の翌日から3か月以内です。審査会が直接要介護度を付け直す手続きではありません。手続きや提出先は、認定結果の通知書や市区町村の案内で確認してください。東京都の審査請求の案内も参考になります。
まとめ|介護保険の申請は、相談と情報整理から始めよう

介護保険の手続きは、まず本人の生活で困っていることを相談し、現在の段階で必要な準備を確認するところから始められます。この記事の要点を振り返ります。
- 市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターに、生活上の困りごとを伝える。
- 申請後は認定調査と主治医意見書、審査・通知を経て、認定結果に応じたケアプランを作る。
- 必要書類、申請方法、主治医の情報は申請先の自治体で確認する。
- 結果を待つ間にサービスが必要なら暫定利用を相談し、届出と自己負担の可能性を確かめる。
- 申請日、担当窓口、次の予定、書類の保管場所を家族でも共有する。
母の最初の申請は姉が担当したため、私は詳しい経緯を知りません。家族の誰かが申請を進める場合も、ほかの家族が現在の状況を分かるようにしておくことは大切だと考えています。
親の生活で気になる変化があれば、まず困っている場面と家族が手伝っている内容を簡単に書き出し、本人の介護保険を担当する市区町村か地域包括支援センターへ相談してみてください。
