介護職の腰痛対策|慢性腰痛の私が移乗・排泄・入浴介助で感じる負担と工夫

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介護職の腰痛対策|移乗・入浴介助で腰を守る基本と補助用品

介護職として移乗や排泄、入浴介助をするたび、腰への負担を感じることがあります。私自身、30代でぎっくり腰を3回経験し、40代半ばから現在まで慢性的な腰痛が続いています。

介護の現場では、痛みがあっても介助の途中で利用者を放り出すことはできません。予期しない動きや別の利用者への対応が重なり、とっさに無理な姿勢になることもあります。

この記事では、慢性腰痛のある現役介護職の私が、移乗・排泄・入浴介助で実際に負担を感じる場面、腰痛ベルトの使用感、姿勢・ベッドの高さ・補助用品・職員同士の協力について、公的な腰痛予防の情報と合わせて整理します。

●この記事でわかること

  • 移乗・排泄・入浴介助で、私が腰への負担を感じる場面
  • 作業姿勢やベッドの高さ、移乗用具を見直すときの基本
  • 腰痛ベルトを使って感じた利点と不便さ、痛みについて相談する目安
  • 職員同士の協力と、職場の設備・学ぶ機会について考えたいこと

私の職場では、高さを変えられるベッドや必要な用品が限られています。そうした実情も交えながら、日々の介助で見直せることと、職場で取り組みたい課題を考えていきます。

介護職の腰痛対策で見直したい姿勢・高さ・補助用品

介護職の腰痛対策で見直したい姿勢・高さ・補助用品

介護の仕事で腰を守るためには、中腰やひねりを減らすこと、作業に合った高さを確保すること、利用者の状態に合う用具と介助体制を整えることが基本になります。厚生労働省の腰痛予防対策指針でも、作業方法から設備、健康管理、教育まで含めた取組が示されています。

介護職になる前から続いている私の腰痛

私の腰痛は、前職のトラック運転手時代にさかのぼります。30代のころに、ぎっくり腰を3回経験しました。そのときは医者には行かず、自宅で3〜4日ほど安静にしているうちに回復していました。

40代半ばからは慢性的に腰が痛むようになり、現在まで続いています。そのころ一度診てもらった際には、骨に異常はないと言われましたが、原因ははっきりしないままです。

今の介護の仕事でも、移乗介助や中腰での作業、利用者に声を掛ける姿勢などで腰への負担を感じます。私の職場では、程度の差はあっても、同僚のほぼ全員から腰痛の悩みを聞きます。

中腰やひねりを減らし、作業の高さを合わせる

厚生労働省の腰痛予防対策指針では、作業の対象に体を近づけ、腰をひねる代わりに体ごと向きを変えることなどが示されています。また、前かがみにならずに済むようベッドの高さや位置を調整し、作業する空間を確保することも対策に含まれます。

私も、高さ調整のできるベッドでは、必要に応じて高さを変えています。ただ、私の職場では調整できるベッドが限られており、すべての場面で同じようにできるわけではありません。

同じ姿勢の作業を長く続けないよう、休息や作業の組合せを考えることも、指針に挙げられています。こうした点は、日々の介助の流れと合わせて見直す内容です。

利用者の状態に合った移乗用具を検討する

厚生労働省の介護・看護向けの解説は、全介助が必要な人を移乗・入浴・排泄介助で抱え上げる際、リフト等を積極的に使い、原則として人力で抱え上げない方針を示しています。

用具は、利用者の状態に合わせて検討します。

用具指針で示されている検討場面
リフト等全介助が必要な人を抱え上げる場面
スライディングボード等座った姿勢を保てる人の移乗
スタンディングマシーン等立った姿勢を保てる人の移乗
スライディングシート等ベッド周囲の介助などで不自然な姿勢を減らすための活用

これらは用具を検討する場面の例です。座ったり立ったりできることだけで使用を決めず、利用者の状態と介助の状況に合う方法を選びます。

用具の使用が困難で、人力で抱え上げざるを得ない場合については、前述の腰痛予防対策指針は利用者の状態や体重等を考慮し、できるだけ適切な姿勢で、身長差の少ない2名以上で作業するよう示しています。二人で行えば、どのような介助でも安全になるという意味ではありません。

移乗・排泄介助では、とっさの対応で腰に無理がかかる

移乗・排泄介助では、とっさの対応で腰に無理がかかる

私が腰を痛めやすいと感じるのは、予定していた動作から急に別の対応へ移るときです。介助中は、腰が痛いからといって、その場で利用者を放り出すわけにはいきません。そのため、無理な姿勢のまま対応してしまうことがあります。

介助の途中で無理な姿勢になってしまう

例えばトイレ介助中、利用者が便座に座りきる前や、立ち上がり始めたときに、突然排便が始まることがあります。便器の外や衣類が汚れないようにと慌てて対応すると、とっさに無理な姿勢になり、腰を痛めてしまうことがあるのです。

中腰の姿勢に、予期していなかった出来事への対応が重なります。私がとっさに無理をしてしまうのは、こうしたときです。

別の利用者への対応も重なるとき

一人の利用者を介助している最中に、別の利用者が立ち上がることもあります。私が経験したのは、認知症が進み、自分が転びやすい状態だと理解しにくい方が立ち上がり、すぐに対応しなければならない場面です。

介助中の利用者のケアをしたうえで、そちらにも急いで向かわなければならない。こうした対応が重なると、腰に無理がかかりやすいと感じています。

職員同士では協力しています。それでも対応が重なる場面については、誰に応援を求めるか、周囲の利用者への対応をどう分担するかを、職場で具体的に検討する余地があります。

厚生労働省の指針も、利用者の状態や作業人数、環境などを考慮して介助ごとの手順を定め、状態が変わるたびに見直すことを示しています。

入浴介助では、着替え・足洗い・浴槽への誘導で中腰になる

入浴介助では、着替え・足洗い・浴槽への誘導で中腰になる

私の場合、入浴介助でも、中腰になる作業で腰への負担を感じます。

腰から下の介助で負担を感じる場面

衣類の着脱を手伝うときや、洗い場で腰から下、特に足先まで洗うときには、中腰になりがちです。利用者が浴槽に入るときも、事故が起きないよう誘導しているうちに、無理な姿勢を取ってしまうことがあります。

私が実際に負担を感じているのは、こうした作業です。「入浴介助」と一つにまとめても、着替え、洗身、浴槽への出入りでは、必要になる対応が違います。

作業位置と介助の流れを見直す

見直す際には、どの作業で中腰が続くのか、どこで無理な向きになるのかを、場面ごとに整理すると検討しやすくなります。作業する位置や介助の順序、応援が必要なところを、利用者の状態に合わせて考えるためです。

これは、指針が示す姿勢と介助手順の見直しを、入浴場面に当てはめた考え方です。浴室の構造や利用者の状態が違えば、取れる方法も変わります。抱え上げが必要になる場面では、前述の福祉用具の検討も含めて、介助の流れを確認する必要があります。

腰痛ベルトで楽になる実感と、動きにくさ

腰痛ベルトで楽になる実感と、動きにくさ

腰痛を抱えて働くなかで、私が使ってきたものに腰痛ベルトがあります。助かる面はありますが、着けたまま仕事をするときの不便さも感じています。

中山式 BODYFRAMEとガードナーベルトを使って感じたこと

60代になってから、中山式 BODYFRAMEやガードナーベルトなどを試しました。腰を引き締めると楽になる実感があり、介護の仕事をするうえでも助かっています。職場でも、腰痛ベルトを着けて働く人は大変多いです。

一方で、ベルトをすると腰の動きが制限され、働きにくくなります。私はできれば着けたくありません。それでも、どうしても痛みがひどいときには使っています。

厚生労働省の指針では、腰部保護ベルトは一律に使用させるのではなく、個人ごとに効果を確認して、使用するかどうかを判断する扱いです。

痛みが続くときや、症状が変わったときの相談

幸い、今のところ仕事を休むほどひどくなることはありません。痛みが強いときには、市販の腰痛コルセットを使ったり、痛み止めを飲んだりしてしのいでいます。

ただ、昔の診察で骨に異常がなかったという話は、当時のことです。日本整形外科学会の腰痛の解説は、腰痛にはさまざまな原因があり、状態に合った診断が重要だとしています。

同学会は、安静にしていても腰痛が軽くならない、次第に悪化する、発熱や脚のしびれ・力の入りにくさ、尿漏れを伴うといった場合に、速やかな整形外科の受診を案内しています。

体操や運動についても、自分の状態に合う内容を整形外科で相談できます。

職員同士の協力と、会社に求めたい設備・学ぶ機会

職員同士の協力と、会社に求めたい設備・学ぶ機会

腰を守る工夫を考えても、実行できるかどうかには、職場に何が用意されているかが関わります。私の職場では、職員同士で協力できることはしていますが、設備や学ぶ機会には難しさを感じています。

高さ調整できるベッドは2〜3台という現実

私が働くグループホームでは、会社が職員のために介助用品を用意してくれることはありません。高さ調整ができる利用者用ベッドも2〜3台で、ほかは高さを変えられません。

必要なものがあれば、利用者の家族に用意してもらうか、職員が自分たちで用意するしかないのが現状です。しかし、家族の経済的な負担を考えると、あれもこれもお願いすることは、ほとんどできません。そのため、必要なら自分たちで用意するしかないと感じています。

職員間で協力したり、手を貸してもらったりすることは、すぐにできるので実際にしています。ただ、協力できることと、高さを変えられるベッドや必要な用品があることは、それぞれ別の課題です。

厚生労働省の指針では、腰痛予防を作業環境や実施体制も含めた取組として位置付けています。職場で見直す際には、負担の大きい作業を挙げ、設備や人員配置がその介助に合っているかを確認することが考えられます。

介助方法を学ぶ支援のある職場を選ぶという考え

私の会社では、介助方法を学ぶ機会を会社が作ってくれることはありません。他の会社の事情は知りませんが、私の職場ではそれが実情です。

資格取得についてもそうですが、介助方法を学ぶ機会や支援がほしいなら、そうした支援をしてくれる会社に変わったほうがよいと、私は考えています。

厚生労働省の介護・看護向けの解説には、用具の使い方を含む教育や、職員から意見を聞いて対策を見直す体制が示されています。

どのような設備があり、どう学べるのか。腰痛を抱えながら働く人にとって、これらも職場を考えるときの大切な確認点になります。

よくある質問

Q:腰痛ベルトは仕事中、ずっと着けたほうがよいですか?

A: 一律に着け続けるものではなく、個人ごとに使用の適否を判断するのが、厚生労働省の指針の考え方です。私も、楽になる実感はありますが、動きにくさがあるため、痛みがひどいときに使っています。

Q:二人で介助すれば、腰への負担は心配ありませんか?

A: 二人なら安全とは言い切れません。全介助が必要な人の抱え上げでは、リフト等の活用が原則です。用具の使用が困難で人力で抱え上げざるを得ない場合も、利用者の状態や体重等を考慮し、できるだけ適切な姿勢で、身長差の少ない2名以上で行うことが指針に示されています。

Q:腰痛があっても、体操はしたほうがよいですか?

A: 自分の状態に合った内容を、整形外科で相談してください。日本整形外科学会も、個々の状態に応じた体操や運動のプログラムについて、整形外科で相談することを勧めています。

まとめ|介助の工夫と職場の環境から腰を守る

まとめ|介助の工夫と職場の環境から腰を守る

私が腰への負担を感じるのは、中腰の作業や、とっさに無理な姿勢を取ってしまう場面です。介助中に対応をやめられない難しさもあります。今回、腰を守るために考えたいことを、次の5点に整理しました。

  • 中腰やひねりが続く場面を見直し、調整できるベッドでは作業に合う高さにする。
  • 利用者の状態に合った福祉用具と介助体制を検討する。
  • 突発的な対応も含め、介助の手順や職員同士の協力の仕方を確認する。
  • 腰痛ベルトの使用感は人によって異なる。痛みや症状に応じた医療機関への相談も大切にする。
  • 設備や介助方法を学ぶ機会も、職場の課題として考える。

私の職場でも、職員同士で協力する一方、用品や学ぶ機会には制約があります。その実情を踏まえて、日々の工夫と職場の環境の両方から、腰を守る方法を考えていくことが大切です。

まずは、腰への負担を感じた介助場面を一つ振り返り、職場で共有してみてはいかがでしょうか。対策を検討する際には、厚生労働省の「保健衛生業における腰痛の予防」も参考になります。

情報確認日:2026年9月9日

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